脱炭素やエネルギー安全保障の必要性から、以前にもまして再生可能エネルギー(再エネ)への取り組みが喫緊の課題となっている。再エネというとまずメガソーラーや風力発電を思い浮かべがちだが、これらは設備や送電網の整備などに時間とコストがかかる。それらを補ういくつかの再エネ分野がある。
本書では、小水力発電、バイオマス発電・熱利用、地熱発電・熱利用といった再エネ事業に関わる地域中小企業の事例を分析・紹介しながら、官民連携の小規模発電、マイクログリット(小規模電力網)や地産地消の再エネ分野への取り組みが、地域振興にも資することなどを論じている。地熱発電については、日本は世界3位の地熱資源国であるにもかかわらず、地熱発電出力は10位にとどまる。だが、近年になって大規模発電所の建設だけでなく、バイナリー方式による「温泉発電」なども広がりを見せているようだ。編著者の北嶋守氏は機械振興協会執行理事兼経済研究所所長代理、髙橋美樹氏は慶應義塾大学商学部教授。著者の兼村智也氏は松本大学大学院総合経営研究科教授、近藤信一氏は岩手県立大学総合政策学部教授、山本匡毅氏は成城大学社会イノベーション学部教授。