これまでのビジネスは、主に顧客の抱える問題を解決することで成長してきた。ところが現在、その成長によって問題解決が飽和状態になり残存する問題が少なくなってきており、それがビジネスの成長を妨げるというパラドクスが起きている。そんな現状に抗う新しいビジネス・パラダイムが台頭しているという。
本書では、近年、短期間に成長を遂げた企業に共通する「社会運動、社会批評の側面を持ったビジネス」をクリティカル・ビジネスと呼び、それ以外の既存のビジネスを「アファーマティブ・ビジネス」と名付け対置。事例を紹介しながら、なぜクリティカル・ビジネスによるパラダイム転換が起きつつあるのか、新しいパラダイムの特徴や効果などを詳細に論じている。現象を読み解くためのポイントの一つは、「大きな社会問題」と「小さな個人的問題」を「自分ごと」として捉える人たちの増加だという。著者は独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。ライプニッツ代表。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)、『ビジネスの未来』(プレジデント社)などベストセラーを含む多数の著書がある。