仕事をしながらつまんだり、息抜きにちょうどいい手軽な菓子として「グミ」の人気がうなぎのぼりだ。コンビニの店頭には、実に多様な色や形、やわらかさの商品群が目立つ位置に並んでいる。2021年にはガムの市場規模をグミが追い抜くという、業界の“大事件”があった。グミがいま“熱い”のはなぜなのか。
本書では、人口減少をはじめとするマイナス条件の中で、グミがヒットした秘訣は何か、元日経新聞記者である著者が、マーケティング理論を援用しながら分析している。日本で発売されてたった40年ほどの歴史しかないグミだが、ガムのようにゴミを作らず、チョコレートよりヘルシーなイメージで、気軽に「幸せ感」を得られることなどから、コロナ禍を経て一気に市場が拡大した。バリエーションの豊富さから、SNSに投稿されやすいなど、コミュニケーションツールとして使えることも大きかったようだ。著者は流通科学大学商学部経営学科教授。1990年に日本経済新聞社に入社し、小売り、卸、外食、食品メーカー、流通政策などを長く取材し、「日経MJ」「日本経済新聞」のデスクを歴任した。2024年4月から現職。