書籍
発刊 2024.03
現実世界を脳が作り上げた「幻想」といえる理由
『夢を叶えるために脳はある』
「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす
池谷 裕二 著 | 講談社 | 672p | 2,420円(税込)
Contents

1.脳は夢と現実を行き来する
2.人工知能がヒトの本質をあぶり出す
3.脳はなんのためにあるのだろう
補講 人工知能の仕組みを解説しよう

Introduction
我々が日々認識し、その中で暮らしている「現実」は、脳によってつくられた「幻想」である――。脳研究者の池谷裕二氏によると、脳の仕組みを解析していくと、そんな結論に到達する。また、一人一人の脳には、これまでの記憶により形成された常識や思い込みをもとに世界を認識する「不自由さ」があるという。
本書は、ベストセラーを含む数々の脳にかかわる著書のある東京大学教授が、3日間にわたり高校生を対象に行った連続講義の記録。なぜ脳は存在するのか、僕らはなぜこんなに大きな脳を持ってしまったのか、時間はなぜ存在するのか、この世界は現実なのか、人工知能にとって人間とはなにか、そして「私」とはなにか、といった根源的な問いを、最先端のものも含む数々の研究成果をもとにわかりやすく解きほぐしている。タイトルの『夢を叶えるために脳はある』の意味は、前向きな精神論ではなく、世界のあり方を示す意外なものだった。著者は、東京大学薬学部教授。脳研究者。海馬の研究を通じ、脳の健康や老化について探究を続ける。本書が完結編となる高校生への脳講義シリーズは、他に『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』(ともに朝日出版社/講談社ブルーバックス)がある。