危機に役立つ人材が「F1」参戦で育つ理由とは
『危機を乗り越える力 ホンダF1を世界一に導いた技術者のどん底からの挑戦』
浅木 泰昭 著
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集英社インターナショナル
| 256p
| 1,760円(税込)
1.ホンダ入社と第2期F1
2.V6エンジン開発と初代オデッセイ
3.N-BOXがヒットし続ける理由
4.定年半年前に再びF1へ
5.F1復帰への「蜘蛛の糸作戦」
6.F1の未来とホンダの新たな挑戦
7.ホンダの存在価値と日本の危機
スペシャル対談 堂本光一×浅木泰昭
なぜホンダはF1で再び世界一を獲れたのか?
モータースポーツ世界最高峰のF1(フォーミュラ・ワン)において、輝かしい成績を誇る日本の自動車メーカーがホンダだ。2015年以降の第4期参戦は2021年シーズンで終了したが、同シーズンはドライバーズチャンピオン獲得で意地を見せた。ホンダF1の立役者の一人が、軽自動車N-BOX開発責任者も務めた浅木泰昭氏だ。
本書は、1981年にホンダに入社した浅木泰昭氏が、自身の技術者人生を振り返り、人材育成やリーダーの在り方について語っている。上司に文句を言う生意気な若造だった20代、変わり者の活躍で危機を乗り越えた経験、F1で世界一を達成した知見などから、F1参戦によって「危機に役に立つ人材」を育てられるという持論を展開する。扱いにくい変わり者や、「俺ならできるかもしれない」という変な自信をつかんだ人間を育てておくことが、危機に備えることにつながるという。著者は1958年生まれ、広島県出身。第2期ホンダF1でのエンジンの開発、小型ミニバンの初代オデッセイ、軽自動車N-BOXなどの開発を経て、2017年に当時苦戦していた第4期のF1に戻り、パワーユニット開発の陣頭指揮を執った。2023年春にホンダを定年退職。現在は、有料のスポーツ動画配信サービスDAZN(ダゾーン)のF1中継で解説を務める。