書籍
発刊 2024.03
一帯一路とインド太平洋戦略が重なる島国の岐路
『地政学から見るスリランカ政治』
植民地支配、分離独立主義と国民統合問題、政治経済危機
ぱすましり じゃやせーな 著 | 大学教育出版 | 156p | 2,750円(税込)
Contents

1.地政学と英米諸国の世界覇権から見るスリランカ
2.アイデンティティのダイナミズム――スリランカ国民・国家の成り立ち
3.植民地支配の負の歴史――分断社会はいかに生まれたのか
4.独立後のスリランカ政治――民族対立・分離主義とLTTEのテロを中心に
5.LTTEの打倒とその後のスリランカの政治――スリランカが抱える内憂外患――
6.インド洋圏における大国間競争とスリランカ
7.インド太平洋時代における日本とスリランカの関係

Introduction
「インド洋の真珠」と呼ばれる島国で「光り輝く島」という意味を持つスリランカ。1948年の独立以来、アジアにおける民主主義のモデル国とされてきたが、近年は民族対立によるテロや経済危機に見舞われるとともに、地政学上の要衝でもあるために、米中対立に巻き込まれるなどの混乱が続いているようだ。
本書では、スリランカの政治を地政学と歴史の観点から分析し、日本や中国、インド、米国などの関係におけるスリランカの立場や役割を考察している。スリランカは多民族・多宗教国家であり、民族間の対立や、政府による優遇政策をめぐる内政問題を抱える。その上で、石油輸送などの重要航路の真ん中にあり、中国のBRI(一帯一路)構想にとっても要となるなど、地政学上極めて重要視されている。そのためスリランカは「非同盟外交・全方位外交」を原則としている。著者は福岡女子大学国際文理学部国際教養学科教授で、専門は国際関係論・平和研究。スリランカのスリ・ジャヤワルダナプラ国立大学卒業後、英国のブラッドフォード大学の修士課程、広島市立大学の博士後期課程を修了。2020年より現職。