「交通」は我々一般市民にとって身近なものであり、鉄道、バス、道路といった交通機関・施設を利用したことがない人の数はゼロに近いだろう。とくに民間事業者によって担われる交通は、公共性と収益のバランスをとった運営が必要という難しさがある。そうした諸問題を扱う学問が「交通論/交通経済学」である。
本書は、理論をわかりやすく噛み砕くとともに、事例を多く取り入れて理解を促す、交通論/交通経済学の入門書。交通市場、交通需要、規制と規制緩和、運賃価格、混雑、地域開発などのトピックスを網羅し、交通にまつわる問題解決をめざす「交通政策」の全容を明らかにする。交通事業は政府の規制のもとで営まれるが、近年の規制緩和の流れの中で、赤字路線維持などに影響が出ているようだ。著者の青木亮氏は東京経済大学経営学部教授で、共著書に『路面電車からトラムへ』(晃洋書房)などがある。須田昌弥氏は青山学院大学経済学部現代経済デザイン学科教授。