「センス」というカタカナ言葉は、美術や音楽など芸術分野をはじめ、さまざまな場面で使われる。ビジネスでは「経営センス」「マーケティングセンス」といった言葉もよく聞かれる。「センスがいい」が褒め言葉になる一方で、「センスがない」は人格否定にも捉えられかねない。そもそもセンスとは何なのか。
本書では、哲学・思想と小説・美術の両輪で活躍する著者が、音楽、絵画、小説、映画など芸術的諸ジャンルを横断しながら、センスを哲学的に考察。「センスの良さ」にもつながる、ものを見るときの「ある感覚」を伝えている。センスとは「直観的にわかる」ことであり、あらゆる対象の「リズム」を意識できることなのだという。著者は立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)、『勉強の哲学――来たるべきバカのために』(文藝春秋)など著書多数。