日本では地震や台風・集中豪雨などのリスクが常にあり、過去の経験や予測をもとに、政府や自治体で「防災」の取り組みが進んでいる。一般市民としても「万が一の備え」をしておくのが望ましい。だが四六時中、防災意識を持ち続けるのは現実的ではないだろう。そこで考えたいのが「フェーズフリー」である。
本書では、防災や商品開発・マーケティングなどにまつわる新しい概念であり、さまざまな業界で注目され取り組みが進むフェーズフリーについて、基本的な考え方から実践方法まで、豊富な事例とともに詳しく解説。フェーズフリーとは、日常時にも非常時にも、状況(フェーズ)を問わず価値をもつプロダクトデザインや制度設計を指す言葉だ。たとえばトヨタの「プリウスPHEV」というハイブリッド車は、普段は燃費がよく快適な運転を可能にしているが、災害時などで停電した際には、蓄電池や発電機として、走行以外にも利用可能になっている。著者は、社会起業家、防災・危機管理・地域活性アドバイザー、フェーズフリーファウンダー。国内外で多くの社会基盤整備および災害復旧・復興事業を手掛け、防災を持続可能なビジネスとして多角的に展開。その一つとしてフェーズフリーを発案し世界ではじめて提唱した。現在、フェーズフリー協会ほか複数団体の代表を務める。