

先端テクノロジーを用いて「食」にまつわる諸問題の解決を目指す「フードテック」の取り組みが進んでいる。三菱総合研究所は、2020年時点で24兆円だったフードテックの世界市場が、2050年には約280兆円にまで拡大するという試算を発表している。人類の「食」の可能性は、どこまで広がるのだろうか。

本書では、「食の未来」に関する多数の著書がある食品学の専門家が、主に「3Dフードプリンター」に焦点を当て、開発や利用の現状や将来の可能性を解説するとともに、時を2055年に設定した架空の日記の形式で、24種類の「未来食」のある生活を、予想図や食品サンプルなどとともに描き出している。3Dフードプリンターとは、プラスチックの熱可塑性樹脂などの材料をもとに立体の構造物を「印刷」する「3Dプリンター」を、食品の加工や調理に応用したもの。さまざまな食材を自由自在に加工し、「誰でもどこでも作ることができる」ことから宇宙食や災害食、また栄養素の構成も自由にできることから「個別化食」への活用が期待されている。著者の石川伸一氏は宮城大学食産業学群教授で、専門は食品学、調理学、栄養学。石川繭子氏は食や科学に関するイラストレーター・ライター。書籍制作を共同で行なっており、『分子調理の日本食』(オライリー・ジャパン)ほか多数ある。