印トヨタの元技術者が心酔した日本の植林技術
『ミヤワキ・メソッド 世界に広がる「ミニ森林」革命』
Mini-Forest Revolution: Using the Miyawaki Method to Rapidly Rewild the World
Hannah Lewis 著
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Chelsea Green Publishing
| 225p
はじめに ロスコフでの森林回復
1.ミヤワキ・メソッド
2.古代の森林の小道で
3.森と水
4.都会のオアシス
5.キャンパス、海岸線地帯、山麓の丘
6.森林を癒やす
7.地球の生体組織
8.ミニ森林フィールドガイド
結論 生態回復は家から始まる
気候変動など喫緊の環境課題の解決に向け、世界ではさまざまな取り組みが進められている。近年注目されているのが「ミニ森林」ムーブメントだ。小さな土地に植林し、自然林に近い成熟した森を育て、緑地化や生態系、生物多様性の保全を目指すもので、日本発の「ミヤワキ・メソッド」を核心技術としている。
米国で刊行された未邦訳の本書では、ミヤワキ・メソッドが短期間での森づくりを可能にする理由やその利点を説きつつ、メソッドを実践して「ミニ森林」を創出する世界中の人々の活動を紹介している。ミヤワキ・メソッドは、日本の植物生態学者で横浜国立大学名誉教授の宮脇昭(1928-2021)が提唱したもの。土地本来の木を使って植樹を行い、比較的短い時間で小さな土地に多様かつ複雑な構造をもつ森林を作る。その手法に感銘を受けたトヨタ自動車インド部門の元エンジニアが起業し植林事業を手がけるなど、ミヤワキ・メソッドの支持者は各国に広がっているようだ。著者のハンナ・ルイス氏はマサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置く非営利環境団体Biodiversity for a Livable Climateが提供しているリポート「地球温暖化に対処するための生態回復を支援する科学的・実践的発見の概要」の編集者。