新書・文庫
発刊 2024.02
200年前に少食の利点を説いた『修身録』とは
『江戸の少食思想に学ぶ』
水野南北『修身録』解題
若井 朝彦 著 | 小学館(小学館新書) | 224p | 1,056円(税込)
Contents

はじめに 江戸随一の観相家が看破した少食の利
序.知られざる異才・水野南北
1.南北先生「少食を究める」
2.開運の問答「万物の徳を知る」

Introduction
多様な食品が容易に手に入る「飽食」の現代、肥満や生活習慣病といった健康リスクの低減、美容、また資源消費量低減の観点などから「少食」や「節制」を勧める書は多くある。「一食抜き」「炭水化物抜き」など、新たな食事法も次々と考案される。こうした少食の思想は、古くは江戸時代からあったようだ。
本書は、江戸後期に少食思想を説く『修身録』を著した水野南北について、その生涯をたどり、著作の内容を解説している。南北は、人の容貌や骨格などをみてその人の性質や運命を判断する「観相家」として名を馳せたが、観相を追究した末に、少食の思想に行きついたという。生まれ持った相の良し悪しよりも、食を慎んでいるかどうかによって、貧富や寿命などの吉凶が変わるとし、食の慎みは立身出世、開運にまでつながると説いた。その思想は、200年を経てなお現代にも通じることが多く、幅広い分野に応用でき、学ぶべき点が多いようだ。著者は1960年、京都市生まれ。主に慶長(1596~1615年)以降の上方文化について考証や執筆を行い、水野南北『修身録』とその思想について四半世紀以上研究している。