いつの時代にも「若者論」は耳目を集め、近年では「Z世代」というキーワードがすっかり定着している。だが一方で、Z世代と呼ばれる若者たちは「多様」であり、一括りにはできないという論調も見られる。例えば職場の若手が「すぐ辞める」のは、職場環境の変化が影響しており、世代的な特徴ではないというのだ。
本書では、独自調査やヒアリングを含む各種データをもとに、職場や、キャリアへの考え方の変化にさらされる「若手社員」の抱える不安や焦りを浮き彫りにしたうえで、マネジャーが彼らをどのように育成していくべきか、具体的なポイントを指摘している。現代の若手は、社内外におけるさまざまな経験により、自らが成長していくことを求める傾向があり、それが実現できない職場は「辞める」という選択をする。それへの対応としては、「言い訳」を提供して経験の機会を作る、「ハイパーメンバーシップ型組織」をめざす、などが提唱されている。著者はリクルートワークス研究所主任研究員。経済産業省にて産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わり、2017年より現職。