コロナ禍中の行動制限のさなか、いわゆる「三密」を避けるのに、公園など屋外の公共空間がクローズアップされた。特に「人種のサラダボウル」と形容され、「密」であることがアイデンティティともいえた米国ニューヨークではいち早く、ウィズコロナの公共空間の模範となる取り組みが始められたという。
本書では、1980年代後半から90年代にかけてその形を成しつつあり、9.11直後の2002年からのブルームバーグ市政において花開き現在も継続中の「パブリックスペース・ムーブメント」について、多数の事例を交えて多角的に論じている。同ムーブメントは、単に都市に公園や広場などを設置したり、整備するだけにとどまらない。都市における公共空間そのものの意義を見直すとともに、都市全体のガバナンスのあり方を問う活動やプロジェクトを含む都市改革運動なのである。編著者の中島直人氏は東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授。ダイジェストでは中島氏のほか、日本大学理工学部助教の三友奈々氏の執筆章を取り上げた。