光量子コンピューターに挑む物理学者の思考とは
『失敗する自由が超越を生む』
量子物理学者 古澤明の頭の中
真山 仁 著
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小学館(小学館新書)
| 208p
| 1,078円(税込)
1.光量子コンピューターか地球滅亡か
2.負ける勝負はしない
3.負けず嫌いと楽しむ天才
4.アトミックボムのような男
5.失敗を面白がれ
6.少年よ、楽しみながら大志をカタチにせよ
7.常識もバランスも捨て、挑戦者は未開を拓く
おわりに 古澤明から見た真山仁
スーパーコンピューターをはるかに凌ぐ、低消費電力と高速計算の両立に期待が高まる量子コンピューター。中でも、光の最小単位である光子(フォトン)を量子ビットとして使う「光量子コンピューター」が注目されている。その最先端を担う量子物理学者は、どんな考えを持って研究に取り組んでいるのだろうか。
本書は、ベストセラー作家の真山仁氏が、科学者で東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻・教授、理化学研究所量子コンピュータ研究センター・副センター長の古澤明氏に取材し、その研究者としての軌跡と、行動の裏にある信念や考え方をまとめたものだ。古澤氏は「一番でなければ意味がない」「誰にも負けたくない」と考える負けず嫌いの性格のようだ。一方、チャレンジした結果、成功しなかったことは「失敗」ではないという考え方や、「失敗も含めて楽しんでほしい」という、後進の研究員たちへの思いも語っている。著者は小説家。1962年大阪府生まれ。新聞記者・フリーライターを経て2004年に企業買収の裏側を描いた『ハゲタカ』でデビュー。シンガポールに日星共同のシリコンバレーを作るという小説『タングル』の執筆にあたり古澤氏を取材し、その人物に魅せられた。