1909年に発売され、うま味調味料として日本の食卓や台所になくてはならないといわれる「味の素」。今では、アジア、アフリカ、中南米を含め、世界中に広まっている。その普及の原動力となったのが、1960年代半ばにフィリピンで創設され、社内で「グリーンベレー」の異名をとる海外市場開拓チームだ。
本書は、世界各国で現地スタッフによる直販営業部隊を率いる、あるいは現地に合わせた商品開発や拡販戦略を実行する日本人社員たちの、現在に至るまでの60年弱の奮闘を描くノンフィクション。文化の相違を乗り越えてビジネスを追求する彼らの挑戦を実名で紹介し、数々のリアルで興味深いエピソードを生き生きと伝える。ダイジェストでは、フィリピン、ペルー、ナイジェリアにおける「グリーンベレー」の活動を取り上げた。著者は経済小説家。都市銀行、証券会社、総合商社勤務をへて、2000年、国際協調融資を巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビューした。