経営学の領域では、近年はDAO(分散型自律組織)といった組織形態や、イノベーションのための戦略論などが注目されることが多い。その一方で既存のトップ、ミドルといった階層を有する垂直型の組織においても、意思決定や行動の「プロセス」に着目することで、より良い経営を目指せるマネジメント理論がある。
本書では、過去50年間の欧米組織戦略論の知見を「コンテクスト・マネジメント」を切り口に統合、体系的に解説。著者が理事長・学長を務める大学院大学至善館における講義の形式をとりながら、人と組織の力を最大限に発揮するために「経営者リーダー」がなすべきことを、「コンテクスト」「プロセス」といったキーワードで論じている。コンテクスト・マネジメントとは、ハーバード・ビジネススクールのジョセフ・バウワーが提唱した、組織の意思決定プロセスを概念化した理論である。著者は大学院大学至善館理事長・学長、特定非営利活動法人アイ・エス・エル(ISL)創設者。日本興業銀行、ロンドン大学ビジネススクール助教授、インシアード経営大学院助教授を経て2001年に独自の教育機関ISLを、2018年にISLを母体に至善館を開校した。