新書・文庫
発刊 2023.08
ドイツの首都が「東のはずれ」に置かれた理由
『「首都」の地政学』
ベルリン・北京・モスクワ…その選地から国家の野心が読める
内藤 博文 著 | 河出書房新社(KAWADE夢新書) | 224p | 979円(税込)
Contents

1.北京に見る軍事主体の地政学
2.ベルリンに見る東方拡大の地政学
3.モスクワに見る西方抑止の地政学
4.ロンドンに見る大陸関与の地政学
5.デリーに見る北西監視の地政学
6.イスタンブールに見る帝国再興の地政学
7.ワシントンに見る覇権主義の地政学
8.ソウルに見る「力の放棄」の地政学
9.東京に見る開拓精神の地政学

Introduction
極端に面積の小さい国を除くあらゆる国家には「首都」が存在する。「国の顔」ともいえる首都は、古くから栄えていたり、国土の中心に位置していたりするだけではない。時の権力者や、国民の意志を反映し、あえてある方角の国境付近に置かれたりもする。首都をめぐり、歴史上どんなドラマがあったのか。
本書では、世界9の首都にフォーカスし、なぜ現在の地に首都が置かれているのか、首都がそこにあることが政治行動や住人の意識などにどのような影響を与えているかを考察している。首都の位置が、近隣の国や地域との関係、政治家・官僚の行動、住人の期待などを動かす理由を著者は「地政学的な誘導」と呼ぶ。ドイツの首都ベルリンは現在、領土の東の端に偏った位置にあるが、19世紀から1918年前まで続いたドイツ帝国(第二帝国)は東方に領土を拡大していたため、ベルリンは地理的に「中央」にあった。著者は、新書系の出版社に勤務後、現在は歴史、地理、世界と日本、文化などの分野を得意とするライターとして精力的に執筆活動を行っている。