

ペットと暮らしていると、動物でも人間の言葉を理解しているのでは、と感じられることがよくあるという。近年の動物の認知やコミュニケーションに関する研究によると、動物たちは互いに、われわれが想像するよりも複雑なメッセージをやりとりしているという。動物はどんな言葉を使っているのだろうか。

本書では、野鳥のシジュウカラの言葉を解明した気鋭の研究者である鈴木俊貴氏と、ゴリラの研究で知られる著名な霊長類学者にして京大前総長の山極寿一氏が、動物のコミュニケーション、ヒトの言葉の起源などについて、最新の知見を紹介しながら語り合っている。鈴木氏は、終日森に籠り、シジュウカラと同じ環境に身を置くことで、シジュウカラが何を考え、どのように世界を見ているのか、想像できるようになったという。そして実験により鳥類でありながらその言葉に「文法」があることを発見した。著者の山極寿一氏は現在、総合地球環境学研究所所長を務める。鈴木俊貴氏は東京大学先端科学技術研究センター准教授。2022年8月、国際学会で「動物言語学」の創設を提唱した。