北方領土、竹島、尖閣諸島など、日本の外交や安全保障上解決がめざされているのは「島」をめぐる問題が多い。世界的にみても、本土と陸地で接していない島嶼は外交上の問題となりやすく、しばしば領有や管理をめぐり争いが起きている。武力侵攻や実効支配の他、国家間で売買するケースも少なくないようだ。
本書では、島の領有や管理をめぐる国際法上及び外交上の諸課題を海外のさまざまな具体例から考察。国際裁判になったケースのほか、売買交渉、コンドミニウム(共同領有)など多様なかたちでの問題解決や、その試行事例も紹介し、考察している。モアイ像で世界的に有名で、それが所在するラパ・ヌイ国立公園が世界遺産にも登録されたイースター島はチリの領土だが、1930年代には米国や英国、ドイツ、そして日本などに売却の提案があったという。著者は東京大学大学院法学政治学研究科教授。国際法、国際航空・宇宙法、国際サイバー法、国際経済法、国際金融法、国際エネルギー法を関心分野とし、『航空経済紛争と国際法』『国家による一方的意思表明と国際法』(以上、信山社)など多数の著書がある。