DXの浸透や、インターネットを使ったサービスが当たり前になった昨今、社内または外注によるソフトウェア開発に取り組む企業がほとんどだろう。だがソフトウェア開発には通常のものづくりとは異なる性格があり、現場のエンジニアとマネジメント側に齟齬が生じプロジェクトがうまくいかないケースもあるようだ。
本書では、プログラマーと経営者両方のキャリアを重ねた著者が、「開発プロジェクトのメンバーにエンジニアをいくら増やしても生産性は上がらず、むしろ下がる可能性がある」「エンジニアに開発にかかる時間の見積もりを求めても、正確にはもちろん、ざっくりと回答するのも難しい」といった、ソフトウェア開発の特殊性を解説。プロジェクトを成功に導くには、事業側と開発現場を「受発注」の関係ではなく「協働」する体制を作ることが重要と説く。変化の時代、多くの企業で新しいタイプのものづくりやサービスの提供が必要になりつつある。本書の知見はソフトウェア開発以外の事業、業種にも応用できそうだ。著者は、株式会社ソニックガーデンの創業者で代表取締役社長。大手システム会社を経てソニックガーデンを起業し、月額定額&成果契約の顧問サービスを提供する新しい受託開発のビジネスモデル「納品のない受託開発」などを展開している。