海外書籍・雑誌
発刊 スペイン 2021.05
2000年前後のスペイン都市計画がもたらしたもの
『「プール付き」のスペイン』
都市郊外の住宅地区「パウ」開発の功罪
La Espana de las piscinas
Contents

はじめに エッセイとエラー
1.パウエレス(パウエルたち)とは何か、彼らはどこにいる?
2.どこに住んでいるかで人がわかる
あとがき 分散化またはコミュニティ

Introduction
スペインでは1997~2007年に不動産バブルがふくらみ、約500万戸もの住宅が建設された。大半はアメリカの郊外住宅をまねており、芝生とプールを有する。こうした家々が立ち並ぶ、都市周辺のニュータウンは、自治体などの都市計画行動プログラム「PAU」(Programa de Actuación Urbanística)の産物だ。
スペインで発刊された未邦訳の本書は、この都市開発モデルに注目し、「プール付き住宅」のような典型的・画一的な住宅環境がスペイン人の価値観やイデオロギーにどのような影響を与えてきたかを分析するエッセイ。PAUによってスペイン人の個人主義化が進み、家族や共同体、近隣社会とのつながりを分断させたなどと考察している。著者のホルヘ・ディオニ・ロペス氏は、新聞やラジオ、企業コミュニケーションなど多岐にわたって活躍するジャーナリスト兼作家。本書でマドリッド書店組合「ノンフィクション・ブック・オブ・ザ・イヤー」を受賞している。