アメリカでは建国当初から国務省が置かれ、そのトップに首席閣僚である国務長官が任ぜられている。キッシンジャー、ベーカー、ライス、ヒラリー・クリントンといった歴代国務長官の名を記憶している日本人も多いことだろう。しかし、国務省がどんな組織なのか、把握している人は少ないのではないだろうか。
本書では、超大国の外交を担い、アメリカの象徴と言われることも多い巨大組織である国務省の全貌を、直接取材や調査により明らかにして解説。歴史、組織と人材、主要ポスト、職務、政策との関わりなどを網羅し、主要歴代国務長官のプロフィールを記している。世界最大級の外交組織であるアメリカ国務省を率いる国務長官は、大統領への提言や助言を行う外交政策のスペシャリストだが、国際情勢や政権の方針に左右されるため、長期的な戦略策定や組織改革をしづらいという問題があるようだ。著者は読売新聞社でワシントン支局、ロンドン支局、パリ支局長、国際部次長などを歴任し、2020年から北見工業大学教授兼国際交流センター長。