2001年の米国同時多発テロ事件以来、イスラーム系テロ組織が活発化、一時より勢力が衰えたといわれるものの、シリア、ソマリアなどの「紛争地」では、いまだ犠牲者が絶えない状況だ。事態を解決しようと、各国政府やNGO/NPOが取り組みを続けているが、その「現場」で働く人々は何を思い、行動しているのか。
本書では、ソマリアやイエメンといった熾烈な紛争地で、テロ組織に取り込まれた「若者」たちへの投降の呼びかけや脱過激化、その後の社会復帰支援を続ける著者が、活動内容や最前線の状況、思いや学びなどをリアルに伝える。「テロや紛争のない世界」の実現というビジョンを掲げ、ソマリアの多くの地域を実効支配するテロ組織「アル・シャバーブ」から日々脅迫を受け、連携する現地の人々から犠牲者を出しながらも一人でも多くの投降兵を救おうと必死で働く著者。どんな思いが彼らを突き動かしているのだろうか。著者はNPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事。テロ組織との交渉および投降の促進、国連機関や現地政府の政策立案やレビュー、国際規範の制定などにも従事する。国連関係では暴力的過激主義対策メンター、専門家会議や専門作業部会のメンバーなど。