近年、家電量販店の液晶テレビ売場でもよく見かける「TCL」というブランドは、中国企業「TCL科技集団」のものだ。1981年に前身企業が設立された同社は、日本のソニー、パナソニック、日立、韓国のLG、サムスンなどに比肩する巨大エレクトロニクス企業に成長した。どんな戦略で発展してきたのだろうか。
未邦訳の中国発刊書籍である本書は、TCLの40年にわたる発展の変遷をたどり、グローバル競争における同社の位置づけや、成長戦略を分析している。半導体技術を基礎とする新しいディスプレイ開発に早くから投資することで地位を築くとともに、大胆な事業再構築、雷鳥科技を設立してスマートテクノロジーに注力するなど、攻勢を続けてきたようだ。著者の秦朔氏はさまざまなメディアで活躍するジャーナリストで、時事誌「南風窓」と経済紙「第一財経日報」の元編集長。戚德志氏は、20年近く金融業界に身を置くベテランのジャーナリストで、中国の主要メディアで活躍してきた。