気候問題、食糧問題、少子高齢化と人口問題など、さまざまな複雑で解決困難な社会課題が増えている。企業のコミットメントが求められているものの、単一の事業領域だけでは対応できないことが多い。対応策として、企業間のゆるいつながりによる「共創」が注目されつつある。
本書では、2017年から東日本旅客鉄道(JR東日本)が中心になって進められている「モビリティ変革コンソーシアム(MIC)」のコンセプトや活動内容、組織形態などの紹介を軸に、「エコシステム起点のイノベーション」という、新時代を切り拓く「共創のかたち」の可能性を論じている。MICには、日立製作所、NEC、NTT、KDDI、凸版印刷、私鉄各社などの大企業から、様々なスタートアップ、大学をはじめとしたアカデミアまで、多種多様な業界から100を超える企業や組織が参加。多様なサービスを組み合わせて利用する「生活者」の視点から、3つのWG(ワーキンググループ)それぞれにおいて複数のサブWGが活動しており、すでにいくつかの成果を上げている。著者の入江洋氏は、JR東日本 イノベーション戦略本部にてモビリティ変革コンソーシアムの事務局長を務める。原田裕介氏はアーサー・ディ・リトル・ジャパン マネージングパートナー日本代表、アジアヘッド、本社ボードメンバー。