書籍
発刊 2023.02
自分が「変わる」という実感を持つことの重要性
『ものがわかるということ』
養老 孟司 著 | 祥伝社 | 216p | 1,760円(税込)
Contents

1.ものがわかるということ
2.「自分がわかる」のウソ
3.世間や他人とどうつき合うか
4.常識やデータを疑ってみる
5.自然の中で育つ、自然と共鳴する

Introduction
近年、「リスキリング」が注目されることもあり、「学び」の大事さが再認識されつつあるのではないだろうか。だが、そもそも何かを学ぶ時の「わかる」とはどういうプロセスなのか。情報があふれる現代だからこそ、雑多な情報に惑わされずに、「わかる」の本質を認識する必要があるのかもしれない。
本書では、ベストセラー『バカの壁』をはじめとする多数の著作で現代社会と人間について考察を重ねてきた解剖学者、養老孟司氏が、「ものがわかる」を主テーマとして、ものの見方や考え方、脳と心の関係、意識の捉え方などについて“養老流”の考え方を綴っている。言葉や、映像・音楽などの「記号」は、そのものとしては時間が経っても「変わらない」が、それを受け取ったり、発したりする人間は、常に変化している。だが、情報社会では、言葉や記号があふれ、優先的に消費されるために、人間は自分が変化していることに無自覚になりがち。そこで人間は変わるものという前提で、「感覚」を大事にし、対象に「共鳴」することが「わかる」ために重要なのだという。著者は、東京大学名誉教授。医学博士。京都国際マンガミュージアム名誉館長も務める。大の虫好きとして知られ、現在も昆虫採集・標本作成を続けている。