新書・文庫
発刊 2023.02
石を加工しながら運んだ、縄文人の技術の同盟
『古代史のテクノロジー』
日本の基礎はこうしてつくられた
長野 正孝 著 | PHP研究所(PHP新書) | 220p | 1,210円(税込)
Contents

1.古代のビッグプロジェクトを検証する
2.技術立国・倭国の実像
3.皇室への血脈をつないだ倭人たち
4.渡来商人による国土改造
5.水路で見つけた古代人の凄い発想
6.古代人は治水を考えなかった

Introduction
2021年7月、三内丸山遺跡を中心とする17ヵ所の遺跡が「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界文化遺産に登録された。縄文人と呼ばれる古代日本に住んでいた人々については、遺跡の発掘調査などから土器や食といった生活の様子が明らかになってきているが、ものづくりの「技術」も高いレベルにあったようだ。
本書は、北海道から九州まで「史跡」を歩き回って古代人のものづくりを観察してきた著者が、古代の港や建物、運河、船、灌漑事業などがどのように行なわれていたのかを、技術の視点から検証している。青森県青森市にある三内丸山遺跡の「縄文タワー」は、その高さから、青森湾や陸奥湾、津軽海峡の向こうから人を集めるための狼煙台として使われたと考える。また、弥生時代には北陸から朝鮮半島まで倭人の舟運ネットワークとして1,000キロメートルもの交易路があった。著者は工学博士。元国土交通省港湾技術研究所部長、武蔵工業大学(現・東京都市大学)元客員教授。広島港、鹿島港、第二パナマ運河など港湾や運河の計画・建設に携わる。