

化石燃料の高騰が電気代値上げにつながり、人々の生活やビジネスに影響が出ている。カーボンニュートラル、ゼロカーボン達成のためにも、再生可能エネルギーの比重をいっそう高める必要があるだろう。そのための強力な武器となりそうな、日本発の技術が注目されている。「ペロブスカイト太陽電池」である。

本書では、次世代太陽電池の大本命ともいわれるペロブスカイト太陽電池の特徴や用途、仕組みなどを解説するとともに、その開発ストーリーを、開発者としてノーベル賞有力候補と目される著者が自ら語っている。従来のわれわれがイメージする太陽光発電パネルにはシリコン太陽電池が使われているが、安くなってきたもののその製造コストや、設置場所などの課題を抱えている。厚さ8分の1ミリほどの薄さでしなやかに曲げられ、軽量で低コストのペロブスカイト太陽電池であれば、それらの課題を一気に解決できる。発電効率も、シリコン太陽電池と遜色ないレベルまで上がってきているという。著者は桐蔭横浜大学大学院工学研究科特任教授、東京大学先端科学技術研究センター・フェロー、早稲田大学先進理工学研究科客員教授。光電気化学、有機系の光電変換技術、とくにペロブスカイト太陽電池の開発を専門とする。富士写真フイルム足柄研究所主任研究員、東京大学大学院総合文化研究科客員教授などを経て現職。2004年にペクセル・テクノロジーズ株式会社を設立、代表取締役を務める。