

アルコールやニコチンに限らず、食べ物やSNSなど日常には依存性のあるものが多くある。依存性を測る指標の一つが神経伝達物質のドーパミンで、これが多く放出されるものほど依存性は高いという。ギャンブルやゲームなど多様な依存症が社会問題にもなる中で、ドーパミンの性質を知ることは重要ではないだろうか。

本書は、依存症医学の世界的第一人者である著者が、自らの診た患者の例(プライバシー保護のため名前等の詳細は変更)を多く引きながら、過剰摂取をやめる秘訣を科学的に解説し、まとめている。神経科学の分野では、脳は快楽と苦痛を同じ場所で処理することがわかっており、快楽ばかりを追求するとバランスを崩してしまうという。また、ドーパミンは、ギャンブルなど「報酬がもらえるかどうかがわからない」という予測不能性に対しても多量に放出されるという。過剰摂取や依存症を避けるために、適量の苦痛が必要となる場合もあるようだ。著者はスタンフォード大学医学部教授、精神科医、医学博士。1967年生まれ。カリフォルニア州在住で、4児の母。