時代とともに「手紙」というコミュニケーション手段を選ぶ人が減り、封筒に貼られる郵便切手を見る機会もあまりなくなってきた。さらにかつては「趣味の王様」と言われた切手収集の流行も途絶えたが、今でも「小さな美術品」としての切手の魅力は減じていない。どんな人が作っているのだろうか。
本書では、日本にたった数人しかいない「切手デザイナー」という仕事にスポットを当てる。日本郵便の切手・葉書室という部署に所属していた8人(当時)全員にインタビューを敢行。各々のプロフィールや実績を紹介しながら、彼ら彼女らの仕事観に迫っている。切手デザイナーたちは専攻はさまざまだが全員が美術系大学の出身。入社のきっかけは紹介もあるが、日本郵便社内からの異動や公募のケースもある。1年に約40件発行されている特殊切手や、普通切手、葉書の切手枠などの企画や調査・取材から関わり、実際のデザイン、校正までを手がける。自ら絵を描くことも多く、各々の個性、デザインの方向性はそれぞれ異なる。著者は愛知県出身。コピーライターを経て作家となる。著書に『よろしくパンダ広告社』(学研プラス)などがある。なお、ダイジェストでは、2人のデザイナーを取り上げている。