

人工知能(AI)が一般のビジネスや身近な日常生活でも利活用されるようになってきた。とくに、英語が不得手なケースが多い日本人には、自動翻訳の進歩が期待されるところだ。かつては誤訳が多く、日本語になっていないなど、不信感が持たれがちだった自動翻訳だが、今では驚くほど精度が向上している。

本書では、日本におけるトップクラスの自動翻訳研究者の一人が、日進月歩で精度を上げてきている、AIを活用した自動翻訳の最前線を詳説。開発の歴史や、簡単な技術解説などを交え、自らがかかわるプロジェクトを含めた将来の可能性にも言及している。著者らが実施した実験によると、今の自動翻訳はTOEIC900点レベルの実力を持っており、この20年で350点もアップした。これほどまでに進化した背景には、AIに、大規模データの解析とそれによる深層学習ができるようになったことがあるのだという。著者は、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)フェロー、一般社団法人アジア太平洋機械翻訳協会(AAMT)会長。日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)を経て2007年からNICTに勤務(2016年からフェロー)。