新書・文庫
発刊 2022.08
トヨタの商品力向上と原価低減を両立する戦略
『IoTと日本のアーキテクチャー戦略』
柴田 友厚 著 | 光文社(光文社新書) | 264p | 968円(税込)
Contents

序.なぜアーキテクチャー戦略が重要なのか
1.アーキテクチャー論はいかにして誕生し発展してきたのか
2.なぜ日本でモジュール戦略は誤解されてきたのか
3.車の脱炭素競争とアーキテクチャー戦略
4.自動運転開発競争とアーキテクチャー戦略
5.産業アーキテクチャー――日欧高速鉄道システムのアーキテクチャー
6.二兎を追う経営――ダイキン工業のモジュール戦略
7.製造業のデジタル変容史
終.日本の正念場 サイバーとフィジカルの好循環へ
あとがき 持ち前の現場力をアーキテクチャーで補強する

Introduction
日本企業は、電機や自動車に代表される実空間(フィジカル空間)の分野において、世界でも存在感を保つ。しかし仮想空間(サイバー空間)においては、米国の巨大IT企業に後れをとった。今日、AIやIoTなどの新技術が台頭する中で、日本が産業競争力を高めていくために、新たな戦略が求められているようだ。
本書は、サイバー空間とフィジカル空間が融合する現代においては、アーキテクチャー戦略を理解し、実装していくことが欠かせないとして、トヨタ自動車をはじめとする企業の取り組みの事例を紹介しながらその重要性を説いている。日本語で「設計思想」と訳されることの多い「アーキテクチャー」の思考は、現場思考が強かった従来の日本企業には馴染みにくかったというが、成功例が出てきているようだ。著者は学習院大学国際社会科学部教授。東北大学名誉教授。京都大学理学部卒業後、ファナック株式会社、笹川平和財団、香川大学大学院教授、東北大学大学院教授を経て2020年から現職。『日本のものづくりを支えた ファナックとインテルの戦略』(光文社新書)、『イノベーションの法則性』(中央経済社)など、著書多数。