海外書籍・雑誌
発刊 イギリス 2016.08
ケニアの未電化地域で太陽光発電が普及した背景
『アフリカに電気を!』
ケニアでなぜオフグリッド太陽光発電が普及したのか
Sustainable Energy for All: Innovation, technology and pro-poor green transformations
Contents

1.イントロダクション:ハードウェア・ファイナンスと起業家精神を超えて
2.技術革新と経済発展のためのイノベーションシステム
3.社会的実践と社会技術的な文脈におけるイノベーション
4.ケニアの太陽光発電市場の出現と統合
5.政策の相互作用と新興市場
6.ケニアの太陽光発電市場の歴史からの教訓
7.結論:「社会技術的イノベーションシステム」の構築に向けて

Introduction
人口増とともにさらなる成長が見込まれるアフリカ諸国。その中でも、政情が安定したケニアでは、水力発電や地熱発電といった再生可能エネルギーを活用したグリーンな経済発展が志向されているようだ。さらに要注目なのが、農村部で普及している、送電網への接続が必要ない「オフグリッド太陽光発電」である。
未邦訳の英国書籍である本書では、ケニアのオフグリッド太陽光発電市場の発展過程を分析し、持続可能な電力の普及と貧困削減の両方をいかに達成するかを考察している。2011年に国際連合は「万人のための持続可能なエネルギー(Sustainable Energy for All: SE4All)」のコミットメントを発表。2030年までに世界中のすべての人がエネルギーにアクセス可能になることを目標とした。この目標を達成するための道筋や仕組みについて、ケニアの事例は大きなヒントを与えてくれるだろう。なお、本書は2016年の発刊であるが、現在でも家庭用ソーラー発電の普及にケニア政府は注力しており、市場も伸びている。その過程を振り返ることは、今後のアフリカの発展のあり方を考える上で、大いに意義があるのではないだろうか。著者のデヴィッド・オクウェル氏は、英国サセックス大学地理学教授。持続可能な開発に関する研究と政策提言などを行っている。ロブ・バーン氏は、英国サセックス大学科学政策研究ユニット上級講師。発展途上国のエネルギー問題を主な研究テーマとしている。