新書・文庫
発刊 2022.07
内閣を支える知られざる法律の専門家集団の役割
『検証 内閣法制局の近現代史』
倉山 満 著 | 光文社(光文社新書) | 288p | 968円(税込)
Contents

序.内閣法制局とはなにか
1.佐藤達夫長官――憲法と現実の矛盾の間に
2.林修三長官――憲法第九条を骨抜きにする
3.高辻正巳長官――「一国平和主義」の開祖
4.吉國一郎長官――天皇をロボットにした男
5.真田秀夫長官――言いなりになる自民党
6.安定する内閣法制局の権威
7.横畠裕介長官――内閣法制局の病理
8.近藤正春長官――本来の法制局の仕事

Introduction
三権分立制を採用している日本では、立法を「国会」が、行政を「内閣」が、司法を「裁判所」が担う。しかし、実質的に日本の法を制しているのは「内閣法制局」だという。一般にはあまり知られておらず、とらえどころのない組織である。なぜそんな力を持ち、いかにその力を発揮しているのだろうか。
本書は、内閣法制局の歴史や歴代長官の発言を追いながら、その実態や強い力を持つ理由を解説している。法制局長官は閣議に出ることができ、その国会答弁は政府の憲法法律的見解を代表する。定員は77名だが、法令がすべて頭に入っているといわれるほど法律知識に優れた集団で、法案や法律問題に関して相談を受けたり意見を述べたりして内閣をサポートしているようだ。著者は、憲政史研究者。救国シンクタンク理事長兼所長。1973年、香川県生まれ。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤研究員として2015年まで同大学で日本国憲法を教える。なお、本書は『検証 財務省の近現代史』『検証 検察庁の近現代史』に次ぐ3部作の完結編。