

「3密を避けつつ体を動かせるスポーツ」として、ゴルフ業界が活況だという。だが10年前には、1971年創業の「名門」ゴルフ場が、利用者の減少により民事再生に追い込まれた。遊戯業界最大手マルハンがスポンサーとなり、今では見事に“復活”し、国内18コースを運営する「太平洋クラブ」のことだ。

本書は、2014年にマルハンからやって来て太平洋クラブの社長となった韓俊(ハンシュン)氏による8年間の改革の軌跡を追っている。マルハン創業者の子で、兄とともにパチンコ業界に革新をもたらした韓俊氏は、その手法を異業種である太平洋クラブに応用。老朽化し、メンテナンスの行き届いていなかった施設・設備を改修、リニューアルして利用者や、同社で働く人たちの環境を整えるとともに、ゴルフ業界の慣習にとらわれず、現場の働き手が自立して考える風土を作った。その改革が功を奏し、太平洋クラブは2014年から増収を継続している。著者は1957年東京都生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。『サービスの達人たち』(新潮新書)、『スバル ヒコーキ野郎が作ったクルマ』(プレジデント社)、『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』(朝日新書)など著書多数。