新書・文庫
発刊 2022.06
日本農業と国土活用の未来を担う領域Xとは何か
『日本のコメ問題』
5つの転換点と迫りくる最大の危機
小川 真如 著 | 中央公論新社(中公新書) | 320p | 1,056円(税込)
Contents

1.コメと田んぼに分けるとみえてくるコメ問題の今
2.コメに満たされた日本人―第一の転換点・1967年
3.コメ余り問題から田んぼ余り問題へ―第二の転換点・1978年
4.コメ問題の国際化―第三の転換点・1993年
5.水田フル活用という思想の誕生―第四の転換点・2008年
6.現代のコメ問題の根底
7.農地が余る時代の到来―第五の転換点・2052年

Introduction
日本人の「主食」とされるコメをめぐっては、これまでさまざまな議論がなされてきた。とくに近年では、農村の高齢化や後継者不足の一方で、コメの作りすぎ(コメ余り)による米価下落が問題となり、農政がその対応に追われてきた。だが問題はコメそのものではなく「田んぼ」にあるという指摘が出てきている。
本書では、この半世紀で変化してきた日本人とコメの関係を、4つの転換点を指摘しながら整理。そして、「田んぼ余り」が直近の課題であるとして詳細に論じている。さらに、近い将来「第五の転換点」がやってくると指摘し、それへの対応についても提言する。「第五の転換点」とは、日本国内の「実際の農地面積」が、「食料安全保障上、必要な農地面積」を上回るようになる時点を指し、そこで出現する余った農地をいかに活用するかが、問われるのだという。著者は、農政調査委員会専門調査員、東京農工大学非常勤講師、恵泉女学園大学非常勤講師。専門社会調査士。専攻は、農業経済学、農政学、人間科学。著書に『現代日本農業論考』(春風社)、『水稲の飼料利用の展開構造』(日本評論社)などがある。