社外取締役の配置など、コーポレートガバナンス(企業統治)体制の整備に苦慮する日本の企業は少なくないようだ。ガバナンスについて理解が進まず、形骸化、あるいは機能不全になり、中にはそれが不祥事につながってしまうケースもありうる。成功した具体事例などをもとに理解を深める必要があるだろう。
本書は、2018年10月から2019年6月までの、LIXILグループ(現LIXIL)で起きた、突然のCEO解任に端を発する“お家騒動”を、登場人物を実名のまま描いたビジネスノンフィクション。主人公として描かれた瀬戸欣哉氏は、滞在先のローマで、取締役会議長だった潮田洋一郎氏から、瀬戸氏のCEO解任が決議されたことを電話で告げられる。帰国した瀬戸氏は、社外取締役の一人から、潮田氏が偽りの情報を流していたことを知らされる。瀬戸氏は反撃を決意、自らのCEO復帰を前提に取締役候補を選び、株主に提案することに。一方、潮田氏側も取締役候補を発表。2019年6月25日の株主総会で、株主の判断を仰ぐべく「決戦」に臨む。著者は1966年生まれのジャーナリスト。日本経済新聞社で電機、電力、商社、ゼネコン、銀行、証券など各界を取材。編集委員、日経ビジネス副編集長などを経て独立した。