

2020年4月24日、日米同盟を軸とした日本外交に卓越した業績を残した元外交官がこの世を去った。岡本行夫氏、74歳。新型コロナウイルス感染症による急逝だった。外務官僚としてだけでなく、内閣官房参与、首相補佐官として政権を支えつつ、湾岸、アフガン、イラク、沖縄など難しい外交の最前線に立ち続けた。

本書は、岡本行夫氏が生前書き遺した自伝。両親の戦争体験や自らの生い立ちから始まり、外交官としてのさまざまな現場での活躍、その時々の国際情勢や日本外交のあり方など幅広く語り尽くしている。とりわけ9.11後のアフガニスタン侵攻やその後のイラク戦争における、日本の国際貢献や復興支援にあたっては八面六臂の活躍を見せた。その姿勢は一貫して、日本の安全保障のための日米関係のあるべき姿を追求するものであった。著者である岡本行夫氏は、1968年に外務省入省。1991年に退官し、岡本アソシエイツを設立した。橋本内閣、小泉内閣と2度にわたり首相補佐官を務め、外務省と首相官邸で湾岸戦争、イラク復興、日米安全保障、経済案件などを担当した。シリコンバレーでのベンチャーキャピタル運営にも携わった。