新書・文庫
発刊 2021.07
戦争の出口戦略を左右する「ジレンマ」とは何か
『戦争はいかに終結したか』
千々和 泰明 著 | 中央公論新社(中公新書) | 312p | 1,012円(税込)
Contents

序.戦争終結への視角
  ―「紛争原因の根本的解決」と「妥協的和平」のジレンマ
1.第一次世界大戦 ―「勝利なき平和」か、懲罰的和平か
2.第二次世界大戦〈ヨーロッパ〉 ―無条件降伏政策の貫徹
3.第二次世界大戦〈アジア太平洋〉 ―「幻想の外交」の悲劇
4.朝鮮戦争 ―「勝利にかわるもの」を求めて
5.ベトナム戦争 ―終幕をひかえた離脱
6.湾岸戦争・アフガニスタン戦争・イラク戦争 ―共存から打倒へ
終.教訓と出口戦略 ―日本の安全保障への示唆

Introduction
終わりの見えない軍事行動が続くウクライナ。どのようにして停戦は合意されるのか。それを考えるヒントが、これまでの国家間の戦争にあるのではないか。とくに複数の国家の利害が絡み合う近現代の戦争が「どう終わったのか」を知ることが、少しでも戦争や紛争を減らしていく上で重要なのではないだろうか。
本書では、二度の世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争など、時代の節目にもなった20世紀以降の戦争に焦点を当て、その終結までのプロセスを精緻に分析。「紛争原因の根本的解決と妥協的和平のジレンマ」を切り口に、平和を回復するための「出口戦略」を考察している。戦争と平和の問題を探究する「国際政治学」の中で、「戦争終結論」はまだ量的にも少なく、発展途上の研究領域であり、とりわけ日本では、太平洋戦争に関する研究は多数なされているものの、理論的な研究はほとんど見当たらないのだという。著者は、防衛省防衛研究所主任研究官。博士(国際公共政策)。京都大学大学院法学研究科COE研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)、防衛省防衛研究所教官、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付主査などを経て、2013年から現職。