書籍
発刊 2022.03
オープン情報だけを使う調査報道ユニットの凄腕
『ベリングキャット』
デジタルハンター、国家の嘘を暴く
WE ARE BELLINGCAT(2021)
エリオット・ヒギンズ 著 | 安原 和見 訳 | 筑摩書房 | 368p | 2,090円(税込)
Contents

1.ラップトップ上の革命――ネット調査の可能性に気づく
2.〈ベリングキャット〉の誕生――探偵チームの形が整う
3.事実のファイアウォール――デジタル・ディストピアへの反撃
4.ネズミが猫をつかまえる――スパイ事件が時代を画する事例に
5.次なるステップ――正義の未来とAIのパワー
補遺 暗殺者と対決――〈ベリングキャット〉、暗殺団に電話する

Introduction
ウクライナ軍事侵攻にあたり、ロシア側による虚偽と疑われる情報拡散が事態をさらに混迷に導いているようだ。そんななか、誰でもアクセスできるオープンソースの情報を用いて虚偽を暴くOSINT(オープンソース・インテリジェンス)の手法が注目されている。その第一線にいるのが「ベリングキャット」だ。
本書では、2014年の発足以来、数々の成果を上げ評価と信頼を高めている調査報道ユニット「べリングキャット」の創設者自らが、その活動について詳細に語っている。べリングキャットという名称は、「猫に鈴をつける」ことを意味し、無料の衛星画像、SNSの書き込みなど、インターネット上に公開されている情報を分析・検証することで、主に国家や権力者が意図的に流すフェイクニュースなどの虚偽情報を暴き、揺るぎない真実を明らかにする活動を続けている。べリングキャットは現在、18人の中核チームと数十人のボランティアスタッフ、そして世界各地に散らばる一般市民からの情報提供や分析報告をもとに活動を続けている。著者は、べリングキャットの創設者で現在も中心人物として活躍するほか、カリフォルニア大学バークレー校の〈ヒューマン・ライツ・センター〉研究員、国際刑事裁判所の技術顧問委員会メンバーも務める。