
環境や社会に配慮したエシカルフードは広がるか
『エシカルフード』
山本 謙治 著
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KADOKAWA(角川新書)
| 256p
| 990円(税込)


1.食のエシカルってなんですか
2.日本の食はエシカルを目指す


企業の社会的責任や環境意識の高まりなどを受けて、日本にも「エシカル」の考え方が少しずつ拡がり始めている。「環境」「人」「動物」に対して生じる倫理的な問題を、消費を通じて解決しようとするアプローチを「エシカル消費」(倫理的な消費)と呼ぶが、欧米と日本とでは、浸透度にまだ差があるようだ。

本書は、「エシカル」について、欧米で拡がる基本的な考え方を解説するとともに、とくに“倫理的に配慮された食品”を指す「エシカルフード」について、具体的な取り組みを紹介している。食をめぐる倫理的なテーマには、環境配慮、フェアトレード、食品ロスなどがあるが、なかでも畜産動物に最低限の福祉を確保しようとする「アニマルウェルフェア」は、日本ではなじみが薄いようだ。また、倫理的な配慮を謳うだけでは市場拡大は難しく、商品・サービス自体に魅力があり、そこにエシカルな要素が加わることで価値が最大化されるという。著者は、農業・畜産分野での商品開発やマーケティングを手掛ける(株)グッドテーブルズ代表取締役社長。農学博士。Webサイト「エシカルはおいしい!!」の運営なども手掛けている。