

気候変動に加え、石炭や石油などの化石資源の枯渇が課題となる中、再生可能エネルギーが注目を集めている。中でも、動植物に由来する有機性資源のバイオマスを原料とするのが、バイオエネルギーだ。このうち、特に石炭や石炭コークスを代替できる燃料として、バイオコークスの研究が進められている。

本書は、バイオコークスの特性や重要性、開発の意義、将来の展望などを、多くの実験結果や研究成果をもとにまとめている。バイオコークスは、ほぼすべてのバイオマスからつくることができるため、家庭や事業者から出る食品ロスや公園の落ち葉など、従来は「ごみ」として廃棄されてきたものを資源として活用できる。また、バイオコークスは、緩慢燃焼、高温環境における一定の圧縮強度といった、チップなどの既存の固形バイオ燃料とは異なる特性を備え、ピザ窯などの燃料としてはもちろん、鉄鋼溶解炉やアーク炉などにおける石炭コークスの代替燃料としても期待されている。著者は、近畿大学バイオコークス研究所所長。1995年に豊橋技術科学大学大学院で工学博士を取得。2000年に近畿大学講師、2008年に同大学准教授を経て、2014年に同大学教授・現職。