書籍
発刊 2021.09
米中冷戦を“熱戦”にしない「ルール作り」とは
『経営戦略と経済安保リスク』
國分 俊史 著 | 日本経済新聞出版 | 272p | 2,750円(税込)
Contents

1.経営戦略の目標――冷戦の長期化
2.研究開発の変身――社会課題を引き起こす
3.組織風土文化の改革――民主主義と権威主義に向き合う経営
4.経営管理の進化――30年経営・チャイナサイクル・脱GDP
5.財務戦略の役割――ルールづくりのリーダーに
6.リスクマネジメント強化――インテリジェンス機関との連携
7.ガバナンスの狙い――社内デカップリングと経済安全保障委員会
8.人事管理の深化――新たなリスクを理解する人材の育成
9.サプライチェーンの罠――人権・気候変動・マネジメント強化
10.情報システム対策――信頼獲得の闘い

Introduction
今や、米国と中国が、経済的な「冷戦」状態にあることは、世界情勢を考える上で基本的な前提とするべきだろう。この冷戦は、当事者の米中企業だけでなく、特定の中国企業と取引のある企業が米国企業のサプライチェーンから排除されるなど、日本企業にも多大な影響を及ぼす。各企業はどう動けばいいのだろうか。
同著者の『エコノミック・ステイトクラフト 経済安全保障の戦い』(日本経済新聞出版)に続く本書では、米中冷戦下で、政府や企業がどのように戦略を描くべきかを多角的に論じている。冷戦に決着をつけようとして軍事的衝突に発展するのを避け、むしろ冷戦を長期化し現状を維持することを「大戦略」とし、その前提で各企業の経営がどうあるべきかを提言。たとえば、さまざまな社会課題の解決に各企業が資源を投入せざるを得ないような「ルール」の形成によって、中国企業の過度な成長や市場独占を抑えることが有効としている。著者は、多摩大学大学院教授、ルール形成戦略研究所所長。パシフィックフォーラム シニアフェロー、前自由民主党新国際秩序創造戦略本部アドバイザー、EYストラテジー・アンド・コンサルティング 執行役員。IT企業の経営企画、シンクタンク、米国系戦略ファーム A.T. カーニー プリンシパル、米国系会計ファーム ヴァイスプレジデントパートナーを経てEYに参画。