私たち人類の生存を脅かしかねない「気候変動」。それを抑えるためには、エネルギー問題の解決が不可欠といえる。そもそも人類は、大量のエネルギーを消費することで文明を築き上げてきた。未来への持続可能性のために、古来の私たちとエネルギーの関係をあらためて問い直すことが必要ではないだろうか。
本書では、火の利用に始まる人類とエネルギーの歴史とその意味づけを行いつつ、現代文明、現代社会が陥った問題の本質と、それを解決するための未来への道筋を描き出している。人類を含む生物の発生や進化、文明や社会の構築などはすべて、エネルギーを受け入れ、放出する流れの中で現れた局所的な「秩序」であり、エネルギーが枯渇すれば成立しない脆弱な構造なのだという。それを踏まえ、気候変動などの問題に対処するには、自然界のエネルギーの流れと資源の循環に、社会の構造や人類の活動を極力合わせていかなければならないと、著者は主張する。著者は、JX 石油開発(株)技術管理部長。1994年に日本石油(当時)に入社し、リテール販売から石油探鉱まで、石油事業の上流から下流まで広範な事業に従事してきた。