近年、製品やサービス開発などに「SF小説」を取り入れる「SFプロトタイピング」という手法が注目されている。SF作品を生み出す際に用いられる、未来を想像/創造するための思考法は「SF思考」と呼ばれ、こちらもビジネスにおけるアイディア創出に取り入れられることが多くなっているようだ。
本書では、気鋭のSF作家で、ITコンサルタントでもある著者が、SF思考とSFプロトタイピングに関する定義やその成立経緯、社会的な意義や実践方法、事例のサンプルなどを紹介し解説。その過程で、SFの重要キーワードである「未来」と、未来を創造することについて、研究者等によるこれまでの議論を踏まえて論じている。妄想ともいえる想像力によって、「現在」の延長線上にない「ぶっ飛んだ未来」を創造するSFをビジネスに応用することで、制約にしばられない革新的な発想ができるのだという。著者は1989年生まれで、外資系コンサルティングファームでテクノロジー部門のマネージャーを務める。また、スタートアップ企業Anon Inc.にてCSFO(Chief Sci-Fi Officer)として、多くのSFプロトタイピング案件を手掛けている。『構造素子』(早川書房)で第5回ハヤカワSFコンテスト大賞を受賞し作家デビュー。