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発刊 ベトナム 2019.08
ホー・チ・ミンが若手官僚に伝えた外交の本質
『ベトナム建国の父 ホー・チ・ミンが語る「外交」』
Chúng Tôi Học Làm Ngoại Giao Với Bác Hồ
Contents

1.最初のレッスン
2.外交の目的
3.何でも新しいことで、何でも学ぶべきだ
4.内部ではうまく団結すべきだ
5.労働体制は明確でなければならない
6.海外にいる同胞に対し、とくに関心を持つべきだ
7.状況が変わり、外交はますます発展している
8.今日は、少し面白い話をしよう
9.ホーおじさんが語る過去の話
10.8月革命が新しい時代を拓いた
11.チェン軍との和解の延期、フランス軍との戦い
12.チェン軍の追放とフランス軍との一時的和解
13.ダラットからフォンテンブローまで
14.最後の遺言

Introduction
第二次世界大戦終戦後のベトナム独立戦争を指揮し、独立後、国家元首として同国を率いた建国の父、ホー・チ・ミン(1890-1969)。その高潔な人柄から、ベトナム国民は今でも親しみをこめて「ホーおじさん」の愛称で呼ぶ。武力よりも交渉を重視したホーは、「外交」をどう捉えていたのだろうか。
ベトナムで刊行された未邦訳書籍である本書は、1962年3月、1964年1月、1966年3月にベトナムの外交官会議にて行われたホー・チ・ミンの講演を紹介することで、彼の外交に対する考え方を浮き彫りにしている。3回の講演はいずれも、大多数が高等教育や正規の外交官教育などを受けていない若手の外交官を対象に行われたものであり、その内容は基本的なものにとどまっている。しかし、愛国者・民族主義者ではあったが、革命指導者にありがちな独裁的手法をとることなく、常に謙虚で慎重な姿勢を貫いたホー・チ・ミンの外交に対する信念が伺える。著者のマイ・ヴァン・ボー氏は、フランス、ベルギー、イタリア、オランダ、ルクセンブルグのベトナム特命全権大使を歴任。1973年には、ベトナム戦争当事国間のパリ協定に署名するベトナムの代表団に加わっている。