書籍
発刊 2021.04
これまでの通説を覆す縄文時代の土偶の正体とは
『土偶を読む』
130年間解かれなかった縄文神話の謎
竹倉 史人 著 | 晶文社 | 352p | 1,870円(税込)
Contents

序.人類学の冒険
1.土偶プロファイリング1 ハート形土偶
2.土偶プロファイリング2 合掌土偶・中空土偶
3.土偶プロファイリング3 椎塚土偶(山形土偶)
4.土偶プロファイリング4 みみずく土偶
5.土偶プロファイリング5 星形土偶
6.土偶プロファイリング6 縄文のビーナス(カモメライン土偶)
7.土偶プロファイリング7 結髪土偶
8.土偶プロファイリング8 刺突文土偶
9.土偶プロファイリング9 遮光器土偶
10.土偶の解読を終えて

Introduction
今から16500年前から2350年前までの縄文時代における人々の生活や文化については、考古学研究の発展により解明が進んだものの、いまだに多くの謎が残されている。とくに縄文文化の象徴の一つである「土偶」については、何をかたどったものなのか、様々な説があるものの確証を得られていないのが現状だ。
古代の謎への「新発見」が注目されベストセラーとなった本書では、現代までに全国で2万点近くが発見されている縄文時代の土偶について、人類学、考古学などの実証研究により、その正体を明らかにする。著者の仮説では、土偶は「植物」をモチーフとして作られており、縄文人たちの生命を育む主要な食用植物の精霊を祀る呪術的儀礼に用いられたものだという。たとえば、土偶の代表格であり、ゴーグルをつけたような大きな眼が特徴的な「遮光器土偶」は、サトイモをかたどったものと説明されている。著者は独立研究者として活動する人類学者で、東京大学で宗教学を学んだ後、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程満期退学(2019年)。専門は宗教人類学。著書に『輪廻転生―<私>をつなぐ生まれ変わりの物語』(講談社現代新書)などがある。