私たちの社会では、とかく「頑張ること」が評価されるのではないか。「頑張れば報われる」と叱咤激励され、自分でもそう信じて仕事や勉学に励む人は少なくない。しかし、「頑張ろうと思っても頑張れない」「頑張ろうと思えない」人たちも、一定数いる。彼らはどうすれば頑張れるようになるのだろうか。
大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)の著者による、同書の続編でもある本書では、著者が支援に関わってきた非行少年をはじめとする「頑張ることができない人たち」がなぜ頑張れないのかを分析、彼らを正しく支援する心構えと方法を探る。頑張れない原因としては、認知機能の弱さや、心理学者アブラハム・マズローが提唱した欲求の5段階説にある生理的欲求、安全の欲求、社会的欲求/所属と愛の欲求、承認の欲求の4つのいずれか、あるいは複数が満たされていないことなどが考えられるという。著者は立命館大学産業社会学部教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業し児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。医学博士、臨床心理士。