“巣ごもり需要”もあり、ネット通販が好調だ。少し前からアマゾンや楽天市場などに押され、書店や文具店、家具店などのリアル店舗は苦戦を強いられていたが、コロナ禍がそれにとどめを刺すかのようだ。しかし中には、リアル店舗ならではの利点を生かし、繁盛している店もある。「飯田屋」がその一つだ。
本書では、浅草かっぱ橋商店街にある大正元年(1912年)創業の老舗料理道具専門店「飯田屋」を2009年に継いだ6代目店主が、赤字経営を立て直し、全国から客が押し寄せる人気店にまで成長させた独自の手法を紹介している。その手法には、積極的に過剰在庫をめざす、在庫回転率を無視、「売るな」という営業方針といった「常識はずれ」のものも多い。これらの背景には、目の前の客に寄り添い、大切にするという考え方があるという。著者は株式会社飯田代表取締役社長。TBS「マツコの知らない世界」、NHK「あさイチ」など多数のメディアに出演経験があり、料理道具の伝道師としても活躍している。2018年、東京商工会議所「第16回 勇気ある経営大賞」優秀賞受賞。